2002年に宮島沼がラムサール条約登録湿地になる数年前の4月、クァクァと少ししゃがれたマガンの鳴き声が、まだ明けきらない沼から聞こえてきた。
その鳴き声が一瞬止み、静寂が沼を包む間もなく突然地鳴りのような羽音が聞こえ、数万羽のマガンが一斉に飛び立つ姿に圧倒され、ただただ見とれていた・・・それから毎年北海道の春を宮島沼で迎えている。
春と秋の2週間ほど、マガンの楽園になる宮島沼は少し西側に石狩川が流れ、春には残雪の樺戸山地が望まれる。
その昔、石狩川流域に広がっていた大湿原の名残りとされる宮島沼の成り立ちは、石狩川の氾濫によってできた残留湖沼説や石狩川の伏流水説などあるようだが、はっきりとは解っていない。
また石狩川流域にはたくさんの旧川や湖沼があるにも関わらず、何故この小さな沼に数万羽のマガンが押し寄せてくるのか・・・なぞの多い沼だ。