2020.03.23公開

[川と水辺の歴史旅◆川とくらし]
羊の放牧とジンギスカンの起源

空知郡北村(現・岩見沢市北村)では、明治27年に北村の村名にもなった山梨県出身の北村雄治が北村農場を開き、バターの製造など幅広い事業を展開しました。その後、雄治の弟、北村黽(びん)が優れた綿羊飼育の実績を残したことで、政府は全国的に綿羊飼育を奨励しました。

北村農場で生産された羊毛の質は高く、農場の主力商品になっていきます。大正13年には日本で初めての純国産ホームスパン(※)が作られ、数々の品評会で上位を独占。ホームスパンと共に「北村」の名前も全国に知られるまでに成長していきました。
※ホームスパン:糸の太い手織りの毛織物。イギリス発祥といわれています。


刈り取った羊毛を洗浄する人々(石狩川・北村/昭和初期)
提供/北村農業資料館(出典:「石狩川の記憶」より)

羊の飼育が広まるにつれて、羊毛だけでなく、その肉も活用しようと、さまざまな調理法が考案されました。北村綿羊畜産組合が大正13年に発行した「羊肉料理法」では、羊肉をたれに漬け込み、七輪で網焼きにするという、現代のジンギスカンにもよく似たレシピが紹介されています。

「ジンギスカン(成吉思汗)鍋」としてレシピが紹介された最も古い歴史は昭和初期ごろです。しかし、それよりも古い時代から、北村でよく似た羊肉料理が食されていたのは注目に値します。

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