今や北海道を代表する観光スポットのひとつになった美瑛町の青い池。ピーク時には年間100万人が訪れ、昨年も40万人以上が足を運んだそう。青い池と言えば、その名の通り、鮮やかな青色の水面に立ち枯れた木々が並ぶ幻想的な風景が有名ですが、なぜ青く見えるのか不思議に思う人は多いでしょう?
他にも「池に生き物はすんでいるのか?」「どの季節が一番きれいにみえるのか?」など、かわたびほっかいどう的には気になることがいっぱい。そんな素朴な疑問に旭川河川事務所と美瑛町役場の方々が答えてくれました。
また、今回はスペシャルゲストとして、2018年11月に放送された「ブラタモリ~富良野・美瑛」の中で、青い池を訪れたタモリさんへ現地で説明された吉川さんからもお話を聞くことができました。
写真提供/美瑛町
かわたびくん ずばり、池の水が青く見えるのはなんでですか?
大谷さん 青い池の上流の美瑛川に流れ込む湧き水などにはアルミニウムの成分が含まれているんです。その水が美瑛川の水と混ざるときにコロイドという細かな粒子を生成し、太陽光を散乱させることで青く見える…と言われています。
かわたびくん そうなんですか。美瑛川も青く見えるんですか?
大谷さん そうです。美瑛川は通称「ブルーリバー」とも呼ばれていて、青い池の上流にある「白ひげの滝」の滝壺も青く見えるんです。
青く輝く川面が美しい美瑛川
かわたびくん 青い池は「池」じゃないって聞いたんですけどホントですか?
大谷さん 厳密には池ではありません。あの場所には昔から池があったわけではなく、1988〜1989年の十勝岳の噴火の後、コンクリートブロックを積み上げて短期間で堰堤(えんてい)を設置したのですが、そこに川の水や雨水などが溜まって現在のような姿になりました。
かわたびくん 堰堤というのは?
大谷さん 小さなダムのような構造物です。実は十勝岳は、これまで噴火を繰り返していて、その時に発生する泥流(噴火で出る高温の火山噴出物が、積もった雪を一気に融かし、土砂を巻き込んで流れ下る現象)によって、一帯は大きな被害を受けました。こうした被害を防ぐために1988〜1989年の噴火後に直轄砂防事業がはじまり、泥流などを食い止める構造物を急ピッチで設置したんです。そのひとつが青い池を生み出した堰堤というわけです。
波消しブロック状の構造物が青い池のほとりに確認できます。
青い池と美瑛川とを望めるスロープは防災用土砂の備蓄も兼ねています。
かわたびくん そうだったんですね。ということは、生き物は…?
平田さん 住んでいません。虫やカエルくらいはいるかも知れませんが、池というより水たまりに近いものなので。ちなみに池の中で立ち枯れているのはカラマツで、木々がきれいに真っすぐ並んで立っているのは、元々人の手で植林された人工林だからです。
かわたびくん 青い池が、人気になったきっかけって?
平田さん 風景写真家の高橋真澄さんという方が、1998年に刊行した「blue river」という写真集の中で青い池を紹介したことがきっかけだと言われています。その後、一部のカメラマンの間で話題になり、2012年にアップル社がパソコンの壁紙に採用したことで、世界的に知られるようになりました。
かわたびくん せっかくなら一番きれいに見える時に行きたいんですけど、いつがいいですか?
平田さん 鮮やかな青色を楽しみたいなら、陽の高い時間帯がおすすめです。夏場なら10時から14時の間くらいが良いですね。
かわたびくん ふむふむ、なるほど。
平田さん 時間や季節によってそれぞれの美しさがあるのも青い池の魅力で、早朝の薄い青色もきれいですし、日没後は水面に星空が映る様子が見られます。秋の紅葉も一見の価値アリです。冬は水面が凍って雪で覆われますが、11月上旬頃は水が凍ったり、解けたりを繰り返し、表情の変化を楽しめます。冬季は日没後、ライトアップも行っているんですよ。
写真提供/美瑛町
かわたびくん 夏場は、青い池まで自転車でも行けるって聞いたんですけど?
平田さん 実は今、イチオシのアクセス方法が自転車なんです! 美瑛町は美しい田園風景でも知られているので、自分のペースで風景を楽しめるサイクリングはオススメ。最近はサイクリングロードも整備されていますし、駅前ではレンタサイクルも充実しています。街中から青い池までは約17キロ、自転車だと1時間ほどですが、電動アシスト付きの自転車もレンタルできるので、はじめての方でも安心ですよ。
かわたびくん 青い池と一緒に楽しめるおすすめスポットは?
平田さん 青い池だけを見て帰ってしまう人が多いのですが、せっかくここまで来たのなら3キロほど上流にある「白ひげの滝」もぜひ訪れてほしいポイントです。地下水が岩壁の間から流れる“潜流瀑(せんりゅうばく)”というタイプの珍しい滝で、迫力も満点です。
写真提供/美瑛町
かわたびくん それはぜひ見てみたい!
平田さん 白ひげの滝を眺めるには、ブルーリバー橋から眺めるのが最高です。その橋を渡った先の階段を登ると「十勝岳火山砂防情報センター(通称ヴォルガ)」という施設にアクセスできます。ヴォルガは十勝岳の自然や火山の仕組みを学べる施設になっていて、大人から子供まで楽しむことができます。時間があればぜひヴォルガにも足を運んでほしいですね。
十勝岳火山砂防情報センター(通称ヴォルガ)
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かわたびくん 吉川さん、青い池のなぞについて付け加えることはありますか?
吉川さん 平田さんと大谷さんの説明の通りです。とてもわかりやすかったですね。私もまたブラタモリに出演したくなりました。