2026.04.24公開

北海道の川で獲れる、さまざまな魚たち

ヒメマス

海で漁獲されるベニザケと同じ種で、非常に美味なことで定評があります。ヒメマスは、ベニザケの陸封型であり、海に回遊せず、一生を淡水で過ごします。北海道ではチップとも呼ばれます。ヒメマスが国内で自然分布するのは阿寒湖とチミケップ湖で、19世紀末から支笏湖や十和田湖などへ移殖され、各地で重要な漁業対象種となりました。産卵期は9月下旬~11月上旬で、産卵魚は満2年から4年魚です。釧路川上流に位置する屈斜路湖では、ベニザケの遡上のほかヒメマスの産卵も確認されています。近年は、原因は不明ですが、湖岸の伏流水が湧出する周辺で、ヒメマスの産卵が多く確認されます。

シシャモ

河川で産卵し仔魚は海で成長する回遊魚(遡河回遊)で、北海道太平洋岸の十数河川のみに遡上する北海道固有の魚です。古くからアイヌの人々に利用されてきましたが、柳葉魚とも書きます。分布は渡島の遊楽部川から根室の別寒辺牛川までとされていますが、近年では鵡川より西の河川ではあまり遡上しないようです。親魚は10月中旬から11月下旬に遡上して産卵し、仔魚は翌年4月上旬から5月上旬に孵化して海に下ります。孵化後1年半で10~15cmに成長し、成熟して産卵のため河川に遡上します。雄は満1歳で成熟して産卵後死亡し、一方、雌は産卵後「下りシシャモ」となって降海し翌年もう一度産卵に参加します。シシャモの漁獲の大部分は遡上期の親魚を海で獲るため漁獲統計上は海産魚の扱いとなりますが、卵で5ヶ月近くを過ごす河川環境の保全はシシャモの資源維持にとって重要で、太平洋沿岸に注ぐ鵡川をはじめ、十勝川、釧路川が代表的河川で、鵡川では「鵡川のシシャモ」として商標登録されている種でもあります。

ワカサギ

本来は河川で産卵し仔魚はすぐ降海して海で成長する回遊魚(遡河回遊)です。淡水への適応力が強く、山地の湖など淡水域でも自然繁殖が可能なため、古くから盛んに移殖が行われ、現在では道内を含め全国各地の湖に分布しています。北海道で漁獲量の多い水域は網走湖・阿寒湖・大沼・塘路湖などです。このうち網走湖と塘路湖は自然分布、阿寒湖と大沼は移殖による分布です。北海道では4月上旬から6月上旬に産卵、仔魚は12~38日で孵化し、動物プランクトンを主食として成長します。満1年後には5~15cmとなり成熟して、多くは産卵した後に死亡しますが、小型のものは成熟せず翌年に産卵する場合もあります。ワカサギ漁はむろんのこと、遊漁対象としても重要で「氷上釣り」は各地の冬の観光資源です。ワカサギの成長は環境に左右されやすく地域や年度によって大きく変動するため、漁獲の安定化のためには資源量や環境要因を継続的に調査することが重要です。
石狩川では、カワヤツメと一緒に内水面漁業として行われていましたが、資源の減少や漁業者の高齢化などによって休業状態です。また、網走川はワカサギの受精卵を全国に移出している重要な河川でもあります。

アユ

河川で産卵、仔魚期は海で過ごし、翌春稚魚が遡上して川で成長する回遊魚(両側回遊)です。日本を代表する魚で、北海道はその分布の北限にあたり、多くの文献では日本海側では天塩川以南、太平洋側では鵡川以西とされますが、現在定期的に遡上が見られるのは日本海側では余市川以南、太平洋側では汐泊川以西です。北海道内では8月下旬から10月上旬に産卵、10~20日で孵化して海に下り、翌年5月中旬から6月下旬に稚魚となって遡上します。河川では珪藻を主食として急速に成長、8月中旬には15~大型なものは30cmにも達します。漁業・遊漁ともに河川での友釣りによる漁獲が主体です。石狩川の支流河川豊平川や夕張川などにも遡上します。尻別川、後志利別川などでも多くの遡上が確認されています。日本海側の朱太川(寿都町、黒松内町)や泊川(島牧村)などもアユの遡上河川として有名です。

ヤツメウナギ

体は細長いウナギ型ですが、ニホンウナギとは異なる種で、ウロコがなく原始的な魚とされます。海で成長し、成熟すると川にのぼり中上流の小砂利底で融雪洪水が治まる春先に産卵します。河川生活は3年程度とされ、有機物等を餌料とし川底の泥中に生息して、体長が約15cm以上になると変態し海に降ります。海洋生活期は他の魚類に吸い付いて、血や筋肉を溶かして吸引します。生活史に不明な点が多い種でもあります。北海道の河川には、他にミツバヤツメ、海と往き来しないシベリアヤツメやスナヤツメなどの種も生息しますが、形態では判別が難しいです。カワヤツメはビタミンAの含有量が高く漢方薬や滋養剤として珍重されており、かっては、石狩川や尻別川、後志利別川等を中心に北海道の河川漁業を支え、郷土料理としても有名でした。しかし、ここ数年は漁獲量が激減し、魚価も高騰し貴重な魚となりました。石狩川や尻別川では、内水面漁業としていましたが、資源の減少や漁労者の高齢化などによって内水面漁業は廃止されています。資源の減少は、カワヤツメの生活史の関係から河川環境変化によるものと考えられています。

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