豆の状態や気象条件など
その時々の変化も含め
家庭料理のように焙煎を楽しんでいる
かわたびほっかいどうの取り組みとして優秀賞を受賞
札内川ブレンドを手がけるロースターを訪ねた
北海道十勝南部、中札内村にある珈琲焙煎工房「MayCoffee」。工房のオーナーであり焙煎士の森田さんは、創業当時から家族の暮らしを最優先にという変わらぬスタンスでコーヒーと向き合い、自分のペースで心のこもった焙煎を続けてきた。森田さんが作り出すコーヒーは多くの人に受け入れやすい優しい味。
実はコーヒーが苦手だったという森田さん、だからこそ優しい味を作り出す事ができるのかもしれない。コーヒーを好きになったきっかけは、美瑛町にある自家焙煎のお店で飲んだコーヒーが美味しくて、それから訪れる度にコーヒーを買い少しずつコーヒーを楽しむ幅が広がっていった。当時勤めていた中札内村のカフェではお客様にコーヒーを提供する業務もあり、コーヒー豆のひき方や淹れ方によって味が変わることが分かってきて、テイスティングを繰り返していくうちに美味しさを引き出す方法を学んだ。ただ、この頃は自分が焙煎士になるとは想像もしていなかった。
しかし焙煎する機会は思いも寄らない展開で訪れることに。カフェで自家焙煎をすることが決まり、森田さんは焙煎機の導入から焙煎、ブレンド作りまで全てを託され、様々な知識を吸収し独学で試行錯誤を繰り返しながら自分のものへとしていった。焙煎をする時は心穏やかな気持ちでコーヒー豆と向き合うことに集中する。豆を焼く作業は後戻りができない一発勝負、それだけに緊張感もあるが自分の積み重ねてきた経験を頼りに少しずつ目指す味へ近づけていく。コーヒー豆は、含んでいる水分量やその時の気象条件によって焙煎の温度や時間が変わる。焙煎初期の頃はいつでも安定した味を求めていたが、現在はその時のコンディションも含め今引き出せる味を楽しんでいる。それはまるで家庭料理のような感覚で気持ちのこもったコーヒーになる。それだけに焙煎した豆は毎回愛おしく思え、飲む人の気持ちを幸せにできたらと思っている。(写真をクリックすると大きくなります)
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▲焙煎機による焙煎。途中豆の焼き具合を確認し良いタイミングで焙煎機から豆を出し熱をとる。
MayCoffeeとして独立したのは2013年。勤めていたカフェから焙煎機を譲り受け、自宅に工房を作りスタート。飲む人が安心してコーヒーを楽しめるよう産地や農園、栽培方法にも拘った豆を選び焙煎を続けてきた。直売というよりはカフェなどの店舗に卸すスタイルで始め、その美味しさと人柄から徐々に取扱店舗が増えていった。
そんな中で「かわたびほっかいどう」の取り組みと出会い、札内川ダムの施設を使った熟成コーヒー「かわたびコーヒー」のプロジェクトに参加。ダムの施設内の温度は一定であるものの湿度が高く、熟成させるために完全防水の真空パックの生豆を用意した。熟成期間はおよそ1年間。熟成を待つ間に誕生したのが川ブレンドコーヒー(十勝川ブレンド・札内川ブレンド・音更川ブレンドの3種)ブレンドの名前となる川の特徴を焙煎士に伝え、そのイメージをコーヒーで表現するというもの。森田さんは身近に流れている「札内川ブレンド」を担当。札内川ブレンドを作る際に共有したイメージは、清流日本一になったことのあるキレイな川、十勝管内の多くの世帯や農業への豊かな水源として重要な川、という事。
川ブレンドは、川の名前を付けて川辺で過ごす時にその川のブレンドを飲みながら楽しんでもらいたいというコンセプトで生まれたプロジェクト。もともとアウトドアが好きな森田さんは、自身でも水辺でコーヒーを楽しみたいと思っていたので、川ブレンドの企画は楽しみの1つになった。札内川ブレンドは、清らかさを表現する一方でコーヒーの香りやコクを楽しんでもらえるようなブレンドとなった。
2022年8月、3つの川ブランドができあがりいよいよお披露目。お披露目はもちろん川のそばでということで、十勝川インフォメーションセンター近くの十勝大橋を見渡すことができるテラスで行われ、コーヒー好きな方や川ブレンドに興味があった方、アウトドア好きな方などが訪れ夕景へと変わる川辺のコーヒータイムを楽しんだ。
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▲十勝大橋のたもとで開催された「川ブレンド」の発表会
同年、かわたびコーヒーは『かわたびほっかいどう優秀賞』を受賞。中札内村役場でその授賞式が行われ、関係者に記念の盾が贈られた。
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▲かわたびほっかいどう優秀賞授賞式と記念の盾
2024年2月、札内川ダムでの熟成を終えたコーヒー豆は、飲み比べ試飲会や焙煎体験イベントなど多くの人に取り組みを知ってもらうきっかけとなった。熟成されたコーヒー豆は味がまろやかに変化し、ダムでの熟成という付加価値も付いたコーヒー豆は数量限定ということもあり早々に終売となった。
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▲札内川ダム熟成コーヒーと道の駅ガーデンスパ十勝川温泉で開催されたお披露目会
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▲札内川園地で行われた「コーヒーキャンプ」熟成豆の焙煎体験とコーヒーの淹れ方教室
2026年新たにダムでの熟成プロジェクトが始まろうとしている。現在、川わたびコーヒーは3つの川ブレンドのドリップバッグセットが道の駅なかさつない、道の駅ガーデンスパ十勝川温泉、道の駅おとふけなどで販売されている。
◎森田 みき
MayCoffee代表。飲食店勤務時に導入された焙煎機がきっかけで焙煎を開始。その後焙煎機と共に独立。将来は自然の中でコーヒーを楽しめる場所を作りたいという夢がある
◎MayCoffee
中札内村にある焙煎所。コーヒーの販売は、道の駅なかさつない、道の駅おとふけ、道の駅ガーデンスパ十勝川温泉などでドリップバッグを販売中。他、飲食店のブレンドなど十勝管内の多数の店舗で味わうことができる。
■取材協力/May Coffee [Instagram:@maycoffee.to Facebook:maycoffee]






























